2024年10月31日
天文現象
2024年9月から10月にかけて、肉眼で見えるほど明るくなった紫金山・アトラス彗星。
太陽系の果てからやってきた「旅人」の一連の様子を紹介します。
※紫金山は「しきんざん」あるいは「ツーチンシャン」と読みます
★肉眼で見えた!夕空の彗星
2023年に発見された紫金山・アトラス彗星が、2024年9月下旬から10月中旬にかけて明るくなり、世界中で見事な尾を引いた姿を見せてくれました。発見当初から明るくなることが期待されていたものの、彗星は見やすくなる直前で崩壊してしまうなどの恐れもあり、正確な予測は難しい状態でしたが、福井市内からも肉眼で見ることができるほど明るくなりました。
★彗星って?
彗星(すいせい)とは、本体の大きさが数キロメートルから数十キロメートルの天体で、氷とチリのかたまりの「核(本体)」とその周りを覆う「コマ」、そこから伸びる「尾」から構成されます。例えるなら「汚れた雪だるま」です。夜空では太陽の光を反射してぼんやりと光って見えます。太陽や地球に近づくと氷が溶け、長い尾を引く姿から、「ほうき星」とも呼ばれます。
★彗星はどこから来た?
彗星も、惑星と同じように太陽をまわる天体の一つですが、数十年かけて太陽をまわるものもあれば、数万年かけてやってくるものもあります。彗星のふるさとと考えられているのは、周期の短いもので惑星の軌道付近、周期の長いものでは海王星軌道よりもっと外側の「エッジワース・カイパーベルト」や「オールトの雲」と呼ばれる微惑星などの天体群と考えられています。太陽から遠く離れた冷たい世界からやってくる彗星には、二度と地球には近づかないものもあります。
★彗星の日ごとの様子
▲2024年5月14日 PM20:00ごろ
望遠鏡を使い撮影。太陽からの距離が遠く肉眼では見えませんが、写真では左上に伸びる尾が確認できます。
▲10月1日 AM5:00
明け方の空でその姿を捉えました。近日点(太陽に最も近い点)を通過後、明るさはピークを過ぎます。
▲10月14日 PM18:44
地球から最も観察しやすい時期となり、夕方の西の空で肉眼で見えるほどの立派な尾が観察されました。
▲10月16日 PM19:16
曇り空の中でも、写真では核と尾の様子がわかります。高度も上がり、空が十分暗くなってからの観察ができました。
▲10月20日 PM19:03
太陽から離れ、暗くなったことで肉眼での観察は難しくなりましたが、高度が上がり夏の星座の星々とともに見られました。
★さらば、紫金山・アトラス彗星
紫金山・アトラス彗星は、予想によっては今後二度と地球に近づかない可能性が考えられています。8万年周期で回帰するという予想もありますが、どちらにせよ今を生きる私たちは二度と見ることはできません。彗星に限らず、天体や天文現象との出会いはまさに一期一会。日頃から空を見上げて、素敵な出会いを見逃さないようにしておきたいものです。
太陽系の果てからやってきた「旅人」の一連の様子を紹介します。
※紫金山は「しきんざん」あるいは「ツーチンシャン」と読みます
★肉眼で見えた!夕空の彗星
2023年に発見された紫金山・アトラス彗星が、2024年9月下旬から10月中旬にかけて明るくなり、世界中で見事な尾を引いた姿を見せてくれました。発見当初から明るくなることが期待されていたものの、彗星は見やすくなる直前で崩壊してしまうなどの恐れもあり、正確な予測は難しい状態でしたが、福井市内からも肉眼で見ることができるほど明るくなりました。
★彗星って?
彗星(すいせい)とは、本体の大きさが数キロメートルから数十キロメートルの天体で、氷とチリのかたまりの「核(本体)」とその周りを覆う「コマ」、そこから伸びる「尾」から構成されます。例えるなら「汚れた雪だるま」です。夜空では太陽の光を反射してぼんやりと光って見えます。太陽や地球に近づくと氷が溶け、長い尾を引く姿から、「ほうき星」とも呼ばれます。
★彗星はどこから来た?
彗星も、惑星と同じように太陽をまわる天体の一つですが、数十年かけて太陽をまわるものもあれば、数万年かけてやってくるものもあります。彗星のふるさとと考えられているのは、周期の短いもので惑星の軌道付近、周期の長いものでは海王星軌道よりもっと外側の「エッジワース・カイパーベルト」や「オールトの雲」と呼ばれる微惑星などの天体群と考えられています。太陽から遠く離れた冷たい世界からやってくる彗星には、二度と地球には近づかないものもあります。
★彗星の日ごとの様子
▲2024年5月14日 PM20:00ごろ
望遠鏡を使い撮影。太陽からの距離が遠く肉眼では見えませんが、写真では左上に伸びる尾が確認できます。
▲10月1日 AM5:00
明け方の空でその姿を捉えました。近日点(太陽に最も近い点)を通過後、明るさはピークを過ぎます。
▲10月14日 PM18:44
地球から最も観察しやすい時期となり、夕方の西の空で肉眼で見えるほどの立派な尾が観察されました。
▲10月16日 PM19:16
曇り空の中でも、写真では核と尾の様子がわかります。高度も上がり、空が十分暗くなってからの観察ができました。
▲10月20日 PM19:03
太陽から離れ、暗くなったことで肉眼での観察は難しくなりましたが、高度が上がり夏の星座の星々とともに見られました。
★さらば、紫金山・アトラス彗星
紫金山・アトラス彗星は、予想によっては今後二度と地球に近づかない可能性が考えられています。8万年周期で回帰するという予想もありますが、どちらにせよ今を生きる私たちは二度と見ることはできません。彗星に限らず、天体や天文現象との出会いはまさに一期一会。日頃から空を見上げて、素敵な出会いを見逃さないようにしておきたいものです。